<書誌情報>
原作:NUMBER 8
作画:貘九三口造
小学館 マンガワン掲載
<作品紹介>
時代は幕末の京都、新選組から分派した者たちをめぐる戦い“油小路事件”を描く。壮絶な剣劇と仲間への想いが交錯するアクション時代劇。
原作/NUMBER 8(なんばーえいと)
<コメント>
誰かが貘九先生の画の迫力を褒めると、僕は自分のことよりも嬉しくなります。編集者もきっと同じだと思います。もしかしたら、貘九先生もシナリオのことを褒められたら自分のことより嬉しくなるのでは…。勝手が良すぎるかもしれませんが、そんな関係こそが分業制の美しさだと考えています。さいとう・たかを先生が築いた土台の上で、僕たちはそんな関係を結び、漫画制作をしています。
だから、僕はずっとこの賞に憧れていました。連載開始時、担当編集の小林さんと和田さんに「さいとう・たかを賞を狙いましょう」と言ったのを覚えています。今、受賞の知らせを聞き、漫画家・編集者・原作者の三者が同時に喜びを叫んでいます。さいとう先生、審査員の先生方、応援してくれた読者の皆様…やりました…ありがとうございます。
<プロフィール>
出版社勤務の後に独立。
NUMBER 8名義で『BLUE GIANT』シリーズのstory directorを務め、映画脚本やスピンオフ小説『ピアノマン』(南波永人名義)の執筆など、多岐に渡って活動している。
漫画原作者としては『風の槍』(作画:矢野日菜子)で連載デビュー。他の作品に『サラリーマンZ』(作画:石田点)がある。
作画/貘九三口造(ばく・さくぞう)
<コメント>
この度は大賞を賜りまして、大変光栄でございます。
私自身が『ABURA』の大ファンであり、脚本を読んで涙を流すこともしばしばありました。編集部の皆様には、主軸と土台をしっかりとコントロールしていただきつつ、ニュアンスのアイデアを柔軟に取り入れていただきました。『ABURA』は、このスタッフだから作ることができた作品です。
画作りにおいては自分との戦いでありました。そんな中、励みになったのは読者の皆様のお声です。
また、取材に応じていただきましたご関係者の皆様のご厚意に深く感謝いたします。御陵衛士への敬愛や配慮を直接お伺いできた事で、この作品への取り組みを深くできました。
御陵衛士の名誉を未来に継ぐことができれば、この上なく嬉しく思います。
「誰かのために」力を出し切った作品です。この賞が、皆様方への恩返しとなれば幸いでございます。
<プロフィール>
2019年「ジヘン」にて『タロウ~進化する殺戮~』(原作:日向奈くらら)を連載し、漫画家デビュー。
その他の作品に『天使の囀り』(原作:貴志祐介)などがある。本格的な時代劇作品を手掛けるのは『ABURA』が初となる。
編集者/小林翔(こばやし・しょう)
<コメント>
新選組の悪役として描かれることが多い「御陵衛士たち」にスポットを当てた本作は、原作のNUMBER 8先生と別の歴史作品を制作しようとした流れから、作画の貘九三口造先生と出会った縁で生み出された作品です。
貘九先生が描く「想いや痛みが伝わる表情や、重厚感のある剣戟シーン」、NUMBER 8 先生が描く「それぞれの立場の男達がもつ信念と生き様」。そんなお二人の類い希なる才能が合致して生まれた本作が名誉ある賞を頂けたこと、編集者という立場ながらとても光栄に思います。
<プロフィール>
2008年小学館入社。「CanCam」編集部を経て「少年サンデー」編集部でWEBサイト「裏サンデー」を創刊。2014年に「マンガワン」編集部として独立し、現在 副編集長を務める。担当作品に『ケンガンアシュラ』『モブサイコ100』『だがしかし』『青のオーケストラ』『灼熱カバディ』『ダンベル何キロ持てる?』『雷雷雷』など。
編集者/和田慎平(わだ・しんぺい)
<受賞コメント>
「この男たちを描きたい…!」と御陵衛士たちのストーリーを作り上げていただいたNUMBER 8先生。毎話、美しく壮絶な作画を仕上げていただいた貘九先生。そして共同担当・上長として熱く激しくマンガ作りをご指導いただいた小林副編集長。この度は受賞、おめでとうございます。
それぞれに凄まじい熱量を持った方々であり、皆様だからこそ、極限の時を生きた男たちの物語『ABURA』を生み出し得たと感じております。この素晴らしい作品に携わらせていただき、誠にありがとうございました!
<プロフィール>
2014年、編集プロダクションに入社。編集者・ライターとして、ゲーム攻略本などの制作に携わる。2020年より独立、フリーランスとして「マンガワン」編集部に参加し、漫画編集者となる。担当作品に『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い@comic』『怪物中毒@comic』『アヤシデ』『江口さんはゲーム脳』など。
▼選考委員コメント(寸評)
池上遼一氏
大政奉還後の新選組、その組を抜けた男たちが、大義のためにどう生き、死ぬるべきか、時代を超越して共感できるその心情を、全編すさまじい撃剣シーンの連続で描かれており、並々ならぬリアルな迫力に圧倒される。
さらに憎しみ合った者同士の清々しいエンディングがすばらしい。
佐藤優氏
歴史的には「負け組」である御陵衛士と新選組に感情移入して、時代の転換期を生きた男たちの誠実さを描いた真面目な作品。内容も事実に出来る限り近づけようとしている。ただし「遊び」の部分がほとんどないので少し重苦しい。
画も斬り合いの激しい様子を見事に描いている。原作をよく消化した作画がなされている。
長崎尚志氏
短編として作ったようだがワンシチュエーションという異色で大胆な設定。
人間ドラマとしても時代劇好きとしても面白いと思う。
絵も一見見づらいがうまいと思う。
やまさき十三氏
古典的な舞台“新選組”に切り込んだ新しい作品の誕生。原作の息も付かせぬ展開、セリフもそういう会話を交わしただろうなと思わせて新鮮。
作画もフルスロットルで混迷の時代を逆走する。そして辿り着くであろうその哀しみは今のボク達にも届くはずである。
一次選考を経て、第7回さいとう・たかを賞ノミネート6作品が決定いたしました。(作品名50 音順、敬称略)
結果は最終選考会を経て、2023年12月8日(金)にさいとう・たかを賞ウェブサイトおよび「ビッグコミック」誌面にて発表いたします。
■選考対象
シナリオライター(脚本家)と作画家の分業により制作されており、2020年9月1日〜2023年8月31日の期間中にコミックス第1巻が刊行されているコミック作品。
※オリジナルシナリオ作品(スピオンオフ作品を含む)に限ります。
※同人誌やWEB媒体のみでの掲載等、商業出版でのコミックス化がされていない作品は対象外とします。
■応募方法
担当編集者による応募のみ受け付けます。(編集部単位でまとめての送付も承ります)
対象作品のコミックス第1巻2冊とエントリーシートの提出が必要です。
コミックス第1巻2冊とエントリーシートいずれも郵送の場合は、以下の住所に送ってください。
※エントリーシートをメールで応募の場合は、エントリーシート内に記載のあるメールアドレスsaito_takao_award_2021●saito-pro.co.jp 宛(●を@に置き換え)で、件名を「第7回さいとう・たかを賞応募にて送り、コミックス第1巻2冊は以下の住所に送ってください。
〒164-0001
東京都中野区中野1-55-3
一般財団法人 さいとう・たかを劇画文化財団
「さいとう・たかを賞」係
応募用紙ダウンロード
※こちらより応募用紙をダウンロードしてお使いください。
ダウンロード(PDF形式)
ダウンロード(XLSX形式)
■選考方法
さいとう・たかを劇画文化財団内にて一次選考を行ったのち、やまさき十三氏、池上遼一氏、佐藤優氏、長崎尚志氏の4名にて最終選考を行います。
■賞品
表彰対象は、該当作品のシナリオライター・作画家・担当編集者(または編集部)の3者とします。
【正賞】ゴルゴ13像トロフィー(シナリオライター・作画家・担当編集者)
【副賞】50万円(シナリオライター・作画家)
−第1回−
−第2回−
『イサック』
(原作:真刈信二 漫画:DOUBLE-S)講談社「月刊アフタヌーン」連載
第2回さいとう・たかを賞 レポートブック(ebook Japan)
【さいとう・たかを賞受賞者インタビュー】設定の魅力を惹き出し、かっこいい男を描く――『イサック』荒井均さん
−第3回−
『レイリ』
(原作:岩明 均 漫画:室井大資)秋田書店「別冊少年チャンピオン」連載
第3回さいとう・たかを賞 レポートブック(ebook Japan)
【さいとう・たかを賞受賞者インタビュー】ラブレターを送るような気持ちで――『レイリ』室井大資さん
−第4回−
−第5回−
−第6回−