ゴルゴ13 名エピソードガイド 増刊97話「夏の老人」
山形で急逝した一人暮らしの老人・高柳廣一の遺品整理に訪れた娘は謎の部品が収められた小箱と正体不明の振込先から定期的に多額の金が振り込まれている通帳を発見する。
銀行や知人に調べてもらっていると、ある日目つきの鋭い男が訪ねてきて、言葉少なに謎の部品を引き取って消えていく。老人の謎の仕事の依頼主はゴルゴであった。実は高柳は日本刀の世界では「神様」とまで呼ばれた伝説の研ぎ師で、ゴルゴの依頼でM-16のトリガー「シアーハンマー」を研磨していたのだ。
超一流の技術を持つゴルゴでも、使用する道具がそれに見合わなければ超人的な仕事をこなす事は出来ない。厳しいゴルゴの目にかなう技術を持つ人間は当然多くなく、そのジャンルにおいてトップの職人しか選ばれることはないだろう。
ゴルゴが超一流の仕事をする職人に仕事を依頼するエピソードは人気シリーズのひとつだ。これまでにも全米で5指に数えられるガンスミス(銃職人)のデイブ・マッカートニー、ゴルゴの依頼を受け8年もかけてアーマライトA2を制作した「精密加工の神様」ことスイスの銃職人ベリンガー、空中地雷スキートを正確に操るロペス、ハリウッドの特殊メイクの達人トマス・フィール、ゴルゴに正確な時間を提供する精密機械時計の職人ハインツ、ゴルゴに「この数十年右手を他人に預けたのはあんた一人だけ」と言わしめた天才革手袋職人、ゴルゴが愛用する銃床専門の職人などが登場している。
Writer
今秀生